Y子さんは入社11年目の係長職でバリバリと仕事をこなす一方、4歳になる息子さんの良き母親としても毎日奮闘されておられました。
Y子さんが中心となって進めていたプロジェクトが成功し、忙しかった業務がひと段落した頃、「なんとなく会社に行きたくない」、「仕事をしていても身が入らない」、「家事をするのが億劫」と感じるようになりました。夫に相談をし、家事分担を変えたり、保育園の送迎も夫に任せるなどしてみましたが状況は改善せず、強い気分の落ち込みを感じる日が出てきました。
「ちょっとこれまでに経験したことのない感じだな」と思ったY子さんは、カウンセラーの定期訪問日に思い切ってカウンセラーを訪ねてみることにしました。
お会いしてお話しを伺うと、会社や家事をさぼりたい、落ち込みが強いというだけではなく、寝付きが悪くて疲れが取れにくかったり、特に朝の倦怠感が強くて動き出すのがつらい、時々すべてを投げうってどこかに行ってしまいたいと考える等のお話しがありました。カウンセリング中は終始うつむき加減で肩を落とし辛い状況におられることが伝わってきました。
様々な症状の訴えを勘案し、まずは専門医を受診して治療を始めるように勧めました。また治療とあわせて日々のストレスなどをカウンセリングの場で話して発散し、一緒に対処方法を検討していくことを提案しました。
受診の結果、「抑うつ状態」と診断されて薬物療法を開始、同時に定期的なカウンセリングを行うことになりました。また、現状で無理をすると健康状況が深刻化することが懸念されたので、ご本人とよく話し合ったうえで直属の上司を交えた3者面談を行い、仕事上必要な配慮について理解を求めました。
薬を飲み始めてひと月くらいで徐々に倦怠感や気分の落ち込みが改善され、3ヵ月後にはほぼすべての症状が気にならない程度に回復されました。再発を防止するために最低限の薬は今も飲んでいますが、カウンセリングでお会いする際の表情もかなり明るくなったように感じられます。
Y子さんには、仕事と家庭を両立することは、無自覚であってもかなりストレスを感じるものであることを再認識し、時々カウンセリングルームに愚痴をこぼしに来ることをお勧めしてカウンセリングは終了となりました。